リースバックの注意点とは?契約前に知っておきたいリスクと後悔しないためのポイント

「自宅を売ってまとまった資金を得ながら、そのまま住み続けられる」という手軽さから注目されているリースバックですが、仕組みを十分に理解しないまま契約を進めると、思わぬトラブルにつながることがあります。

この記事では、リースバックを検討している個人の方に向けて、契約前に必ず押さえておきたい注意点と、実際に起こりやすいトラブル事例、そして後悔しないための対策をわかりやすく解説します。

目次

リースバックの注意点1:売却価格が市場相場より安くなりやすい

リースバックの売却価格は、一般的な仲介による売却に比べて低くなる傾向があります。目安として、市場価格の6〜8割程度になるケースが多いといわれています。

「まとまった資金が手に入る」というメリットの裏側にある、リースバック特有のデメリットとして最初に理解しておきたいポイントです。

なぜ売却価格が安くなるのか

買主となるリースバック会社は、売却後の家賃収入による利回りを重視して価格を算定します。

また、将来再販売する際の価格下落リスクも見込んで買い取るため、通常の仲介売却よりも価格が抑えられやすいのです。仲介による売却では「市場でいくらで売れるか」が価格の基準になりますが、リースバックでは「賃貸に出した場合にどの程度の収益を確保できるか」という投資的な視点が加わるため、どうしても買取価格は抑えめに設定される仕組みになっています。

この構造を理解しておくことで、「なぜ思ったより安いのか」という疑問や不満を事前に解消できます。

対策:複数社に査定を依頼する

提示された価格が適正かどうかを見極めるには、1社だけで判断せず、最低でも3社程度に査定を依頼することが重要です。価格の根拠や算出方法を確認し、極端に相場より低い金額を提示する業者には注意しましょう。

査定を比較する際は、買取価格だけでなく、その価格に対して家賃がどの程度に設定されるかも併せて確認することがポイントです。同じ物件でも会社によって数百万円単位で価格が異なることも珍しくないため、面倒でも複数社の条件を並べて比較する一手間が、結果的に大きな差につながります。

リースバックの注意点2:売却後に家賃の支払いが発生する

リースバック後は、これまでの「所有者」から「賃借人」という立場に変わるため、毎月家賃を支払う必要があります。

売却によってまとまった資金を得られる一方、その資金は最終的に家賃という形で少しずつ買主側に戻っていく構造になっている点を理解しておくことが大切です。

家賃が周辺相場より高くなることがある

リースバックの家賃は、周辺の賃貸相場ではなく、売却価格とリースバック会社の期待利回りをもとに算出されることが多く、結果として周辺相場よりやや高めに設定される傾向があります。

売却価格を高く設定すればするほど、その分家賃も上がりやすい点には注意が必要です。これは、買主が「投資物件」として物件を購入し、家賃収入によって一定の利回りを確保する必要があるためで、一般的な賃貸物件のように近隣の家賃水準だけで価格が決まるわけではありません。

そのため、「売却価格は高いに越したことがない」と安易に考えると、後々の家賃負担が想定以上に重くなってしまう可能性がある点に注意しましょう。

対策:長期的な支払いシミュレーションをする

契約前に、今後何年住み続ける予定かを想定し、その期間に支払う家賃の総額を計算しておきましょう。「売却価格の何割が最終的に家賃として出ていくのか」を把握したうえで、無理のない範囲か確認することが大切です。

例えば、10年住み続けた場合の家賃総額が売却価格の大部分に相当するケースもあるため、単純な月々の金額だけでなく、長期的な視点で総支払額を試算しておくことが重要です。

また、一定期間家賃が固定される契約を選ぶことで、更新時の値上げリスクを抑えられる場合もあります。契約前に家賃改定の条件についても必ず確認し、将来の見通しを立てておきましょう。

リースバックの注意点3:賃貸借契約の種類によって住み続けられる期間が変わる

リースバック後の賃貸借契約には、大きく分けて「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があります。この違いは、今後どれくらいの期間住み続けられるかに直結する重要なポイントです。

「ずっと同じ家に住み続けられる」と思い込んで契約すると、後々想定外のタイミングで退去を求められる可能性もあるため、契約前に必ず理解しておく必要があります。

普通借家契約と定期借家契約の違い

普通借家契約は、貸主に正当な事由がない限り、借主の希望で契約を更新し続けられるのが原則です。

一方、定期借家契約はあらかじめ定めた期間(2〜3年程度が多い)が満了すると、原則として契約が終了します。双方の合意があれば再契約できる場合もありますが、再契約は保証されておらず、貸主が「再契約しない」と判断すれば、その時点で退去せざるを得ません。

対策:契約形態と更新条件を必ず確認する

普通借家契約は、貸主に正当な事由がない限り、借主の希望で契約を更新し続けられるのが原則です。

一方、定期借家契約はあらかじめ定めた期間(2〜3年程度が多い)が満了すると、原則として契約が終了します。双方の合意があれば再契約できる場合もありますが、再契約は保証されておらず、貸主が「再契約しない」と判断すれば、その時点で退去せざるを得ません。

リースバックの注意点4:住宅ローンの残債を完済できないと利用できない場合がある

住宅ローンが残っていてもリースバックを利用すること自体は可能ですが、多くの場合、売却代金でローンの残債を完済できることが条件になります。

抵当権が設定されたままの不動産は、原則として売却することができないため、ローン残債の状況によってはリースバックを利用できないケースがある点に注意が必要です。

なぜローン残債の完済が必要なのか

不動産に住宅ローンが残っている場合、その物件には金融機関による「抵当権」が設定されています。

抵当権とは、ローンの返済が滞った際に金融機関が物件を差し押さえられる権利のことで、これが設定されたままの状態では、原則として第三者への売却ができません。

そのため、リースバックを利用する際は、売却代金でローン残債を完済し、抵当権を抹消することが基本的な条件となります。売却見込み額が残債を下回る「オーバーローン」の状態にある場合は、不足分を自己資金で補う必要があり、それでも完済できない場合は、そもそも売却自体ができない可能性があります。

対策:事前にローン残高と売却見込み額を照らし合わせる

契約を検討する前に、まずは自宅の住宅ローン残高を金融機関に確認し、リースバック会社から提示される想定売却価格と照らし合わせておきましょう。

売却価格が残債を上回る「アンダーローン」の状態であれば、完済後に手元に資金が残るため問題なく手続きを進められます。

一方、残債の方が多い場合は、自己資金でどの程度補填できるかを事前に試算しておくことが重要です。金融機関によっては任意売却などの相談に応じてくれる場合もあるため、残債が売却額を上回りそうな場合は、早めにリースバック会社や金融機関に相談し、選択肢を確認しておくと安心です。

リースバックの注意点5:リフォームや修繕に関する制限がある

売却後は自宅が賃貸物件となるため、リフォームや設備の変更は基本的に貸主の承諾が必要になります。所有者だった頃は自由に行えていた模様替えや設備交換も、賃借人となった後は勝手に行えなくなる点は、見落とされがちな注意点のひとつです。

大規模リフォームは自由にできない

間取りの変更や外壁の塗り替えなど、大規模な改修を自分の判断だけで行うことはできません。「売却後も自由にリフォームできる」と思い込んでいると、後になって認識のずれからトラブルになることがあります。賃貸借契約では、原則として建物の現状を維持する義務が借主に課されるため、壁紙の張り替えや内装の変更といった比較的小規模な模様替えであっても、事前に貸主の承諾を得る必要があるケースが一般的です。

特にリフォームを前提に長く住み続けたいと考えている方は、契約前にどこまでの範囲が認められるのかを具体的に確認しておく必要があります。があります。

修繕費の負担が借主側になっているケースがある

一般的な賃貸借契約では、借主の過失によるものでない限り設備の修繕費は貸主が負担するのが通例です。

しかしリースバックでは、元の所有者がそのまま住み続けるという特殊な事情から、特約によって修繕費を借主(元の所有者)側の負担とする契約が結ばれることも少なくありません。

これは、リースバック契約が「実質的に所有者だった人がそのまま住み続ける」という特殊な性質を持つため、通常の賃貸契約とは異なる負担割合が設定されやすいことに起因します。給湯器やエアコンなどの設備が故障した場合、誰がどこまで費用を負担するのかを曖昧にしたまま契約すると、思わぬ出費につながる可能性があります。

対策:契約前にルールを細かく確認する

どの範囲までリフォームが認められるのか、給湯器やエアコンなどの設備が故障した際の修繕費はどちらが負担するのか、退去時の原状回復のルールはどうなっているのかを、賃貸借契約書で必ず確認しておきましょう。

口頭での説明だけで済ませず、契約書に具体的な条項として明記されているかをチェックすることが大切です。

特に修繕費の負担範囲については「〇〇万円以下は借主負担」といった金額基準が設けられている場合もあるため、想定される修繕内容ごとに、費用負担がどちらになるのかを事前にシミュレーションしておくと安心です。

リースバックの注意点6:買い戻しができるとは限らない

将来的に資金の余裕ができたら自宅を買い戻せる点は、リースバックの大きな魅力のひとつです。

しかし、契約内容によっては「買い戻すつもりだったのにできなかった」というトラブルも起こり得ます。「いずれ買い戻せるはず」という思い込みだけで契約を進めてしまうと、いざという時に大きな後悔につながりかねないため、事前の確認が欠かせません。

買い戻し価格が想定より高くなることがある

買い戻し時には、売却価格の1.1〜1.3倍程度の金額が必要になるケースが一般的です。資金計画が甘いまま契約すると、いざ買い戻そうとしたときに資金が足りなくなることがあります。

これは、買主であるリースバック会社が、物件の運用リスクや資金拘束期間に対する対価を上乗せして買い戻し価格を設定するためで、売却時に受け取った金額よりも多くの資金を用意しなければならない点に注意が必要です。

「数年後に買い戻す」という前提で契約する場合は、この価格差も織り込んだうえで資金計画を立てておく必要があります。

口頭の約束だけでは効力がない

買い戻しの約束を口頭だけで交わしてしまうと、実際に買い戻そうとした際に業者側から「そのような約束はしていない」と拒否されるおそれがあります。

買い戻しを前提とするなら、契約時に買戻し特約や売買予約といった形で書面に残しておくことが不可欠です。担当者の説明で「将来的に買い戻せますよ」と言われたとしても、それが契約書に明記されていなければ法的な効力を持たず、後になって業者側の対応が変わってしまうリスクがあります。

買い戻しの可能性を少しでも考えているのであれば、口約束で終わらせず、必ず書面での明記を求めましょう。

対策:買い戻し条件を契約書で明確にする

買い戻しを検討している場合は、買い戻せる期限、価格の算出方法、買い戻しが義務なのかオプションなのかを契約前に必ず確認し、書面に明記してもらいましょう。

特に「買い戻しの権利行使期限が何年後までか」「期限を過ぎた場合はどうなるのか」といった点は見落とされがちなため、担当者に具体的な条件を確認し、疑問があればその場で解消しておくことが大切です。不明点が多い場合は、契約前に司法書士など第三者の専門家に契約書をチェックしてもらうのも有効な対策です。

リースバックの注意点7:相続を予定している家族への説明不足によるトラブル

相続対策としてリースバックを活用するケースもありますが、家族や親族への説明が不十分だと、後になってトラブルに発展することがあります。

子どもが「実家は将来自分が相続するもの」と思っている場合、所有権がすでに移転していることを知らずにいると、相続発生後に認識の違いから揉めごとに発展しかねません。

なぜ家族間のトラブルが起こりやすいのか

リースバックは所有者本人の判断だけで契約を進められるため、家族や親族に相談せずに手続きが完了してしまうケースも少なくありません。

しかし、自宅は多くの家庭にとって主要な相続財産のひとつであり、子どもや親族が「いずれ自分が相続する家」と認識している場合、所有権がすでに他者へ移転していた事実を後から知ることで、大きなショックや不信感につながることがあります。

特に相続発生後に契約の存在が判明すると、「なぜ生前に教えてくれなかったのか」「他に何か隠していたのではないか」といった疑念に発展し、遺産分割協議そのものが円滑に進まなくなるおそれもあります。

対策:契約前に家族へ事情を共有しておく

リースバックを検討する段階で、家族間でしっかりコミュニケーションを取っておくことが大切です。

契約を決断する前に、なぜリースバックを利用したいのか(老後資金の確保、ローンの整理など)、所有権が移転すること、将来買い戻す予定があるのかどうかを、可能な範囲で家族に説明しておくことで、相続発生後の誤解や対立を防ぎやすくなります。

特に相続人が複数いる場合は、全員が同じ情報を共有できるよう、書面やメモなどの形で経緯を残しておくのも有効です。家族関係や事情によって話しにくい場合もありますが、専門家を交えて説明の場を設けるのもひとつの方法です。

Points to Consider Regarding Sale-Leasebacks

トラブルの多くは、契約内容の理解不足だけでなく、依頼先の選び方によっても起こります。

同じ物件であっても、依頼する会社によって買取価格や家賃、契約条件は大きく異なるため、「どこに依頼するか」はリースバックの成否を左右する重要な要素です。以下のポイントを比較検討しましょう。

実績や経営基盤を確認する

取引実績が豊富で経営基盤が安定している会社であれば、契約後に会社が立ち行かなくなるリスクを抑えられます。公式サイトの実績ページや事業を続けている年数を確認しましょう。

リースバックは契約後も長期間にわたって家賃を支払い続ける取引であるため、途中で運営会社が倒産したり物件が別の第三者に転売されたりすると、契約条件が引き継がれるかどうか不安が生じる可能性があります。

宅地建物取引業の免許番号や登録年数、これまでの取扱件数なども、信頼性を判断する材料として確認しておくとよいでしょう。

説明が丁寧で誠実な対応か

良い面だけを強調し、契約を急かしてくるような業者には注意が必要です。デメリットやリスクについてもきちんと説明してくれるか、質問に対して曖昧な回答をしないかを見極めましょう。

優良な会社であれば、売却価格が市場相場より低くなる理由や、家賃の算定根拠、契約形態によるリスクなども含めて、メリット・デメリットの両面を丁寧に説明してくれるはずです。逆に「今だけ」「他社より確実にお得」といった言葉で即決を迫るような対応が見られる場合は、一度冷静になって他社とも比較する姿勢が大切です。

費用の内訳が明瞭か

売却時・賃貸開始後それぞれにかかる費用(仲介手数料、印紙代、登録免許税、敷金・礼金、保証料など)を事前にきちんと開示してくれるかどうかも重要な判断材料です。費用の内訳が不透明なまま契約を進めてしまうと、想定していなかった諸費用が発生し、手元に残る資金が予想より少なくなってしまうこともあります。

見積もりを受け取る際は、売却価格や家賃といった大きな数字だけでなく、諸費用まで含めた総額でシミュレーションを提示してもらい、書面で確認しておくことをおすすめします。

必ず複数社を比較する

価格や家賃の設定基準は会社によって異なります。1社だけの提示条件を鵜呑みにせず、複数社に査定を依頼し、価格・家賃・契約内容・担当者の対応を総合的に比較しましょう。

同じ物件であっても、会社によって買取価格が数百万円単位で異なることも珍しくなく、家賃の利回り設定や契約形態(普通借家か定期借家か)も会社ごとに差があります。

一括査定サービスなどを活用すれば効率的に比較できるため、面倒に感じても複数社に相談する一手間が、後悔のない選択につながります。

リースバックで後悔しないためのチェックリスト

ここまで、リースバックのメリットや注意点、会社選びのポイントについて解説してきました。

最後に、実際に契約を検討する段階で見落としがちな項目を、チェックリストとしてまとめます。契約書にサインする前に、ひとつずつ確認しながら進めることで、「こんなはずではなかった」という後悔を防ぐことができます。

気になる項目があれば、担当者への質問や家族との相談を通じて、納得できるまで解消しておきましょう。

契約前に、以下の項目を最終確認しておくと安心です。

  • 売却価格は複数社の査定と比較して妥当か
  • 毎月の家賃を長期にわたって無理なく支払えるか
  • 契約は普通借家契約か定期借家契約か、更新条件はどうなっているか
  • 住宅ローンの残債を売却代金で完済できるか
  • リフォームや修繕費の負担区分はどうなっているか
  • 買い戻しを希望する場合、条件や期限が書面に明記されているか
  • 家族や親族に対して、事前に十分な説明をしているか

これらの項目は、いずれも本記事で解説してきた注意点と対応しています。特に「価格」「家賃」「契約形態」「家族への説明」は、契約後の生活やその後の人間関係にまで影響する重要なポイントです。

1社の提案だけで判断するのではなく、複数社の条件を比較しながら、時間をかけて丁寧に検討することが、リースバックを後悔のない選択にするための最も確実な方法といえるでしょう。

まとめ

リースバックは、まとまった資金を確保しながら住み慣れた自宅に住み続けられる便利な仕組みですが、売却価格が相場より安くなりやすいこと、家賃の負担が発生すること、契約形態によって住み続けられる期間が変わることなど、事前に理解しておくべき注意点も少なくありません。

トラブルの多くは、契約内容を十分に確認しないまま進めてしまうことや、業者選びを誤ることが原因で起こります。複数社を比較し、契約書の細部までしっかり確認したうえで、自分のライフプランに合った形でリースバックを活用することが、後悔しないための一番のポイントです。

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この記事を書いた人

JAY|リースバック・不動産売却の専門家。
不動産売買会社で3年間マーケティング職として勤務し、土地活用・土地売買・事業用不動産など幅広い案件を担当。

当サイトでは、不動産業界での実務経験を活かし、リースバックをはじめとした不動産に関する情報をわかりやすくお届けします。

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