リースバックの審査とは?基準や落ちる理由、通過するためのポイントを解説

リースバックは自宅を売却して資金を得ながら、そのまま住み続けられる仕組みです。住宅ローンのような「与信審査」がないイメージを持たれがちですが、実際にはリースバック会社による審査があり、内容によっては利用を断られることもあります。

この記事では、リースバックの審査とはどのようなものか、審査基準や必要書類、審査に落ちる主な理由、そして落ちてしまった場合の対処法まで、個人の方向けにわかりやすく解説します。

目次

リースバックに審査はあるのか

リースバックは、金融機関からお金を借りる「融資」ではなく、自宅をリースバック会社に売却し、その後は賃貸借契約を結んで住み続ける取引です。そのため、住宅ローンのように信用情報機関への照会をともなう厳密な与信審査は行われません。

とはいえ、審査自体が存在しないわけではありません。リースバック会社は「その不動産を買い取って問題ないか」「売却後も家賃を支払い続けてもらえるか」という観点から、独自の基準にもとづいた審査を行います。 審査は大きく2種類に分かれる
リースバックの審査は、主に次の2つに分けられます。 不動産の審査:物件の権利関係、立地、状態などを確認するもの
個人の審査:申込者の収入や家賃の支払い能力などを確認するもの さらに、賃貸借契約時に家賃保証会社を利用する場合は、リースバック会社の審査に加えて保証会社独自の審査も行われます。

リースバックの不動産審査でチェックされるポイント

リースバックを利用する際、対象となる不動産の資産価値や取引の安全性を確かめるために不動産審査が行われます。リースバック会社は将来的な物件の再販売や賃貸管理を見据えているため、通常の不動産売却とは異なる視点でもチェックされます。売買契約をスムーズに進めるためには、どのような基準で評価されるのかを事前に把握しておくことが大切です。

ここでは、不動産審査で重点的に見られるポイントを解説します。

名義人全員の同意があるか

自宅が夫婦や親族との共有名義になっている場合、不動産全体を売却するには名義人全員の同意が必要です。法律上、共有物の処分行為には全員の同意が不可欠であるため、1人でも反対する人がいればリースバックの契約を成立させることはできません。

また、名義人の1人が高齢で判断能力が低下している場合は、成年後見制度の利用が必要になるなど、手続きに時間を要するケースもあります。後々トラブルに発展することや手続きの停滞を防ぐためにも、検討の初期段階で名義人全員にしっかりと意図を説明し、全員の同意を得ておくことが非常に重要です。

住宅ローン残債と売却価格のバランス

住宅ローンが残っている物件を売却する際は、金融機関の抵当権を抹消するために売却代金でローンを完済することが原則条件となります。売却価格がローン残債を下回る「オーバーローン」の状態の場合、その差額を自己資金で補填できなければ、審査の通過は難しくなります。

補填が難しい場合には、金融機関の同意を得て売却を進める「任意売却」とリースバックを組み合わせる方法も選択肢となります。ただし、すべてのリースバック会社が任意売却案件に対応しているわけではないため、事前に対処可能かどうかの確認が必要です。

物件の権利関係・法的な状態

建築基準法などの法令に合致しているかといった、物件の権利関係や法的な状態も審査に大きく影響します。法改正などにより現在の基準を満たしていない既存不適格物件や再建築不可物件、違法建築物は、将来的な資産価値や再建築の難易度から評価が低くなり、審査に通りにくくなります。

さらに、土地の所有権がない借地権付き建物に関しても、地主の承諾が必要となるため取り扱い対象外とする会社が一般的です。所有している物件の権利関係や法的制限については、事前に登記事項証明書などで正確に把握しておくことが望ましいです。

立地エリア・物件の種別

リースバック会社ごとに、対応可能なエリアや得意とする物件の種別(マンション、戸建て、事業用店舗、一棟ビルなど)は異なります。そのため、価格や権利関係などの条件がどれほど優れていても、希望する物件が会社の対応エリア外であったり対象外の種別であったりする場合は、審査に進むことすらできません。

大都市圏を中心に全国展開している会社もあれば、特定の地域や特定の物件種別に特化した会社もあります。検討をスムーズに進めるためには、自社の保有物件に対応している不動産会社をあらかじめ絞り込んでおくことが大切です。

不動産の流動性

将来的にリースバック会社が物件を再販売(流動化)しやすいかどうかという点も、審査において重要な判断基準となります。将来の買い手が見込みにくい不動産は、事業者にとってリスクが高くなるためです。

例えば、極端に敷地が狭い物件、間取りが特殊すぎる物件、道路に一定以上接していないなど接道条件を満たさない土地などは、流動性が低いと見なされ審査で敬遠される傾向があります。逆に、周辺環境が良好で利便性が高く、需要が見込めるエリアの物件であれば、再販売が容易であると判断され、審査にも通りやすくなります。

リースバックの個人審査でチェックされるポイント

リースバックでは物件の価値だけでなく、売却後に賃貸契約を結ぶ売主自身の個人審査も実施されます。売却後も住み続けるためには、毎月の家賃を安定して支払い続けられるかが最重要視されるためです。住宅ローンの審査とは異なる基準が適用されるものの、収入や職業などの属性確認は避けられません。

ここでは、個人審査においてリースバック会社が具体的にどのような項目をチェックしているのかを解説します。

家賃を支払い続けられる収入・資産があるか

リースバックでは売却完了後に賃貸借契約を結ぶため、毎月の家賃を安定して支払えるだけの資力があるかが厳しく確認されます。売却代金を当面の家賃支払いに充てることも可能ですが、日々の収入に対して家賃や生活費の支出が大きすぎると、将来的に資金が底をつき家賃を滞納してしまうリスクがあるためです。

審査では現在の給与収入や年金収入に加え、預貯金などの金融資産も含めて総合的に判断されます。今後長期間にわたって無理なく支払いを継続できる資金計画が立っているかどうかが、個人審査における重要なポイントとなります。

保証会社を利用する場合の審査

賃貸借契約を結ぶ際に家賃保証会社の加入を必須としているリースバック会社では、会社独自の審査に加えて保証会社による審査も行われます。保証会社の審査では、一般の賃貸物件と同様に収入面での支払い能力や、過去の家賃滞納歴などの信用情報が確認されます。

ただし、住宅ローンなどの金融審査と比較すると、リースバックの審査基準は柔軟であるケースが多いのが特徴です。高齢者の方や定期収入に不安がある方でも申し込み可能な会社が多く、これまでの信用取引実績が少ない方であっても比較的検討しやすい仕組みになっています。

リースバックの審査に必要な書類

個人審査および不動産審査をスムーズに進めるためには、事前の書類準備が欠かせません。申込み時には一般的に、運転免許証などの本人確認書類をはじめ、物件の登記事項証明書や固定資産税の納税通知書、住宅ローン残高証明書、間取り図面などの提出が求められます。

  • 不動産の登記事項証明書
  • 固定資産税の納税通知書、または評価証明書
  • 住宅ローンの残高証明書

必要書類を過不足なく揃えておくことで、確認作業が滞りなく進行し、結果が出るまでの時間を短縮できます。なお、提示を求められる書類の種類や発行時期などの細かな条件は取扱会社によって異なるため、事前の確認が推奨されます。

リースバックの審査に落ちる主な理由

リースバックは一般的な住宅ローンなどに比べて審査基準が柔軟とされていますが、どのような物件・人物であっても必ず通過できるわけではありません。過去の失敗事例や審査落ちの傾向をあらかじめ把握しておくことで、事前に適切な対策を講じることが可能になります。

ここでは、リースバックの審査において不適合と判断されてしまう主な理由と、その背景にある具体的な要因について詳しく解説します。

オーバーローンで完済ができない

売却価格が住宅ローンの残債を下回る「オーバーローン」の状態で、その差額を自己資金で補填できない場合は審査を通過できません。不動産を売却するためには、金融機関が設定している抵当権を抹消する必要がありますが、ローンが完済できないと抹消の同意が得られないためです。

このようなケースでは、金融機関と交渉して「任意売却」と組み合わせる手法や、自己資金を準備して差額を穴埋めする対策が必要となります。ローン残債と想定売却価格のバランスは、審査において最も重要な要素の一つです。

共有名義人の同意が得られない

売却対象の不動産が夫婦や親族などの共有名義になっている場合、名義人全員の同意が得られなければ審査を進めることはできません。法律上、共有不動産全体を処分するには所有者全員の合意が必須条件とされているためです。

1人でも反対している名義人がいる状態では、売買契約の成立どころか審査の土台にも乗りません。後々のトラブルを回避するためにも、リースバックの利用を検討し始めた早い段階で共有名義人全員と話し合いを行い、明確な合意形成を図っておくことが不可欠です。

物件の権利関係や状態に問題がある

物件の権利関係や建物の状態に法的・構造的な課題がある場合も、審査で見送られる可能性が高くなります。具体的には、建築基準法の改定により現在の基準を満たさない既存不適格物件や再建築不可物件、違法建築物などは、将来的な資産価値が低く再販売が難しいためです。

また、土地の所有権がない借地権付き建物についても、地主の承諾手続きが複雑になることから対象外とする会社が多く存在します。物件の流動性や法的リスクの高さが、審査に大きく影響します。

収入に対して希望条件が見合っていない

売主(利用者の皆様)の収入と希望条件のバランスが崩れている場合、個人審査の段階で落ちてしまう原因となります。

例えば、毎月の安定した収入や資産に対して家賃設定が高すぎる場合、将来的な家賃滞納リスクが高いと判断されるためです。

また、売買価格を高く設定しすぎるとそれに応じて家賃も高額になる仕組みになっているため、自身の支払い能力を超えてしまうケースもあります。収入に対して無理のない適正な家賃設定と売却価格のバランスを見極めることが求められます。

対応エリア・物件種別の対象外

どれほど物件の条件が良く、利用者の収入が安定していても、依頼したリースバック会社の対応エリアや取り扱い対象の物件種別(戸建て、マンション、事業用店舗など)から外れている場合は審査を通過できません。

リースバック会社ごとに得意とする地域や買い取り可能な不動産の種類はあらかじめ決まっているためです。対応していない会社に打診しても審査不備となってしまうため、事前に所有物件の立地や種別に対応している事業者を選択して申し込むことが大切です。

リースバックの審査に落ちたときの対処法

万が一リースバックの審査に落ちてしまった場合でも、すぐに諦める必要はありません。審査で見送られた理由は会社や案件によって様々であり、原因を正しく分析して適切なアプローチをとることで、解決の糸口が見つかるケースも多く存在します。

ここでは、審査に通らなかった際に検討すべき具体的な4つの対処法について詳しく解説します。

他のリースバック会社に相談してみる

審査落ちとなった場合でも、別のリースバック会社に相談することで審査を通過できる可能性は十分にあります。

審査基準や得意とする物件種別、対応エリアは会社によって大きく異なるためです。大手の会社で断られた場合でも、特定の地域に強みを持つ中小の不動産会社や、独自の買取基準を持つ会社であれば柔軟に対応してもらえるケースがあります。あきらめずに複数の会社へ打診し、見積もりや査定を比較検討してみることが重要です。

保証会社を変更・見直す

賃貸借契約の際に利用する保証会社の審査が原因で拒否された場合は、保証会社の変更や見直しを打診してみましょう。保証会社ごとに信用情報の照会範囲や審査の厳しさは異なるため、別の保証会社であれば通過できる可能性があります。

リースバック会社によっては複数の保証会社と提携しているケースもあるため、事情を説明した上で「他の保証会社で再審査を受けられないか」と担当者に相談してみるのが効果的です。

希望条件を見直す

希望する売却価格や家賃設定が高すぎることが原因で審査に通らない場合は、条件を現実的な水準へと調整することが有効です。

特に家賃設定が高すぎると、個人の支払い能力を超えていると判断され審査で敬遠されます。希望売却価格を少し下げて家賃の負担を軽減するなど、収入とのバランスが取れた無理のないプランに組み直すことで、審査に通る可能性を大きく高めることができます。自身の資金計画を見直し、適正な条件で再提示しましょう。

オーバーローンの場合は任意売却を検討する

住宅ローン残債が売却価格を上回る「オーバーローン」のケースでは、金融機関の同意を得て売却を進める「任意売却」とリースバックを組み合わせる方法が選択肢となります。

ただし、任意売却を行ってもローン全額を相殺できない場合は、売却後の家賃に加えて残ったローンの返済も発生することになります。二重の支払いによって家計が圧迫されるリスクがあるため、金融機関や専門家と事前にしっかり協議し、返済計画に無理がないかを慎重に見極める必要があります。

審査を有利に進めるために事前にできること

リースバックの審査をスムーズかつ有利に進めるためには、申し込み前の事前準備が非常に重要な鍵を握ります。あらかじめご自身の状況や物件の正確な情報を整理しておくことで、不動産会社からの信頼を得やすくなり、審査落ちのリスクを大幅に減らすことができます。

ここでは、申し込みを行う前に実践しておくべき具体的な3つの準備ポイントについて詳しく解説します。

住宅ローンの残債を正確に把握しておく

住宅ローンが残っている場合は、現在のローン残債を正確に把握しておくことが審査の前提条件となります。完済に必要な金額と売却想定価格のバランスを事前に計算しておくことで、オーバーローンの有無や必要な自己資金の額を早期に判明させられるためです。

残高の確認は、金融機関から定期的に届く残高証明書や返済予定表、Webマイページなどで簡単に行えます。事前に対処法を検討できるよう、最新の正確な金額を控えておくことがスムーズな審査進行につながります。

複数社に査定を依頼して比較する

リースバックの査定額や審査基準、提示される家賃の金額は会社によって大きく異なります。最初から1社だけに絞り込んでしまうと、その会社の基準で断られた際に選択肢がなくなってしまうため、最初から複数のリースバック会社へ一括で査定を依頼することが大切です。

複数社の条件や担当者の対応力、提案内容をじっくり比較検討することで、自身の物件や資金状況に最も適した会社を見つけやすくなり、結果として審査通過の可能性を大きく広げることができます。

家計の収支バランスを確認しておく

売却後に毎月支払う家賃を考慮し、家計の収支バランスを事前にシミュレーションしておくことも重要な対策です。売却代金の具体的な使い道や、日々の給与・年金収入から無理なく家賃を捻出できる計画が立っていれば、個人審査の際にも明確で説得力のある説明が可能になります。

無理のない返済・支払計画が提示できれば、リースバック会社や保証会社からの信用度が高まり、審査を優位に進める大きな強みとなります。

まとめ

リースバックは融資ではないため、住宅ローンのような厳格な信用審査はありませんが、「不動産の審査」と「個人の審査」という形でリースバック会社独自の基準にもとづいた確認が行われます。オーバーローンや共有名義の同意、物件の権利関係、家賃の支払い能力などが主なチェックポイントです。

万が一審査に落ちてしまっても、会社や保証会社を変える、条件を見直すといった対処法によって、利用の道が開けるケースは少なくありません。まずは自分の状況を整理し、複数のリースバック会社に相談してみることから始めてみましょう。

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この記事を書いた人

JAY|リースバック・不動産売却の専門家。
不動産売買会社で3年間マーケティング職として勤務し、土地活用・土地売買・事業用不動産など幅広い案件を担当。

当サイトでは、不動産業界での実務経験を活かし、リースバックをはじめとした不動産に関する情報をわかりやすくお届けします。

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