空き家対策にリースバックは使える?実家を空き家にしないための活用法を解説

「親が一人暮らしをしている実家。将来空き家になったらどうしよう」「相続した家をどうすればいいかわからない」——こうした空き家に関する悩みを抱える方は年々増えています。空き家は放置してしまうと管理の手間や維持費がかかるだけでなく、防犯・防災上の大きなリスクや固定資産税等の負担増にもつながりかねません。

この記事では、深刻化する空き家問題の現状を踏まえながら、有効な選択肢である「リースバック」を空き家対策・生前対策としてどのように活用できるのか、わかりやすく解説します。

目次

深刻化する空き家問題の現状

総務省の調査によると、全国の空き家数は約900万戸、空き家率は13.8%に達し、いずれも過去最多を更新しています。この30年ほどで空き家の数はおよそ2倍に増加しており、少子高齢化や人口減少の影響を強く受けています。まずは、なぜこれほど空き家が増加しているのか、その背景と放置するリスクについて確認していきましょう。

空き家の多くは「相続」がきっかけで発生する

空き家を所有することになった経緯として、最も多いのが「相続」によるものです。実際の統計でも半数以上のケースが相続をきっかけに空き家を取得しています。親などの所有者が亡くなった際、子どもや法定相続人が家を引き継ぐことになりますが、所有者の約3割は電車や車で1時間以上かかる遠隔地に住んでいるのが実情です。自身はすでに別でマイホームを構えていることも多く、引き継いだものの「自分では住む予定がなく、遠方のため頻繁に通って管理することも難しい」という事態に陥り、そのまま放置されてしまうケースが多発しています。

高齢者の転居も空き家発生の大きな原因

高齢になった所有者が老人ホームなどの介護施設へ入所したり、支援を受けるために子どもと同居・転居したりすることをきっかけに、それまで住んでいた自宅が空き家になるケースも急増しています。特に公共交通機関や買い物環境の利便性が乏しい郊外や田舎の地域では、売却や賃貸として市場に出してもなかなか借り手・買い手が見つかりにくいという課題があります。その結果、所有者が存命であっても住む人がいない状態が長く続き、実質的な放置状態となって空き家が一気に増加する傾向にあります。

放置するとどんなリスクがあるか

空き家を何の対策もせず放置し続けると、多岐にわたるリスクが生じます。建物の老朽化が進むと台風や地震による倒壊・飛散の危険が高まるほか、不法侵入や不法投棄、放火といった防犯上の脅威にさらされます。さらに、雑草の繁茂や害獣・害虫の発生など近隣住民の衛生・景観環境にも害を及ぼします。状態が悪化し「特定空き家」等に指定されると、自治体からの指導対象となるだけでなく、固定資産税の住宅用地特例(軽減措置)が解除されて税負担が最大6倍程度に跳ね上がることもあるため、早期の対策が必須です。

なぜ空き家対策にリースバックが有効なのか

空き家に関するトラブルや課題の多くは、所有者が不在となった後に手遅れな状態で見つかることから発生します。こうした事態を防ぐ上で、リースバックは極めて有効な予防策となります。空き家問題に対するリースバック活用最大のポイントは、「空き家になってから対処する」のではなく、「空き家になる前にあらかじめ手を打っておく」という点にあります。具体的な仕組みと活用戦略について見ていきましょう。

リースバックの基本的な仕組み

リースバックとは、所有している自宅をリースバック会社などの専門業者に売却し、同時にその会社と賃貸借契約を結ぶことで、売却後もそのまま同じ家に住み続けられる不動産取引の仕組みです。自宅を売却するため、一括でまとまった現金(売却代金)を手に入れられる大きなメリットがあります。売却後は所有者から賃借人へと立場が変わるため毎月家賃が発生しますが、住み慣れた環境や生活スタイルを一切変えずに資産を流動化・現金化できる点が最大の特徴です。

空き家になる前に活用することが最大のポイント

親が自宅で元気に暮らしている段階でリースバックを活用すれば、親は引っ越す必要なく住み慣れた実家で暮らし続けられます。将来、親が施設へ入居したり他界したりした際、所有権はすでにリースバック会社へ移転しているため、実家が放置されて「相続財産としての空き家」になること自体を未然に回避できます。放置空き家問題は発生してから売却や解体を検討すると手間も費用もかかります。実家を「空き家になる前の段階で資産整理しておく」という発想の転換が重要な鍵となります。

実家の空き家化を防ぐためのリースバック活用パターン

実家の空き家化を防ぐアプローチは、ご家族の状況や所有者の意向によっていくつかパターンが存在します。ここでは、リースバックを効果的に取り入れるための具体的な活用パターンと注意点について詳しく解説します。

パターン2:将来の相続トラブルを未然に防ぐ

遺産が「実家(不動産)」しかない場合、残された子どもたちが「誰が相続するか」「どう評価して分けるか」で揉め、遺産分割協議が紛糾するリスクが高まります。生前にリースバックを活用して自宅を現金化しておけば、相続財産が分けやすい現金中心になるため、相続人同士で公平に分配しやすくなります。将来、誰も住まない実家が放置されて空き家化するのを防ぎつつ、兄弟姉妹間での親族トラブルや相続争いの芽をあらかじめ摘んでおくという点でも非常に有効な対策となります。

パターン2:将来の相続トラブルを未然に防ぐ

遺産が「実家(不動産)」しかない場合、残された子どもたちが「誰が相続するか」「どう評価して分けるか」で揉め、遺産分割協議が紛糾するリスクが高まります。生前にリースバックを活用して自宅を現金化しておけば、相続財産が分けやすい現金中心になるため、相続人同士で公平に分配しやすくなります。将来、誰も住まない実家が放置されて空き家化するのを防ぎつつ、兄弟姉妹間での親族トラブルや相続争いの芽をあらかじめ摘んでおくという点でも非常に有効な対策となります。

パターン3:すでに空き家になっている場合は利用できるとは限らない

注意しておきたいのは、すでに誰も住んでいない状態の空き家に対して、通常のリースバックをそのまま適用することは難しい場合があるという点です。リースバックは「売主が賃借人として住み続ける」ことを前提とした仕組みであるため、居住者がいない状態の空き家では、この賃貸借契約の前提が成り立ちにくいのです。

すでに空き家になってしまった実家については、リースバックではなく、通常の不動産売却、更地にしての活用、空き家バンクへの登録、賃貸への転用といった、別の選択肢を検討する必要があります。「空き家になる前」に動けるかどうかが、リースバックを活用できるかどうかの分かれ目になると理解しておきましょう。

空き家対策としてリースバックを利用するメリット

実家の空き家化を防ぐ手法としてリースバックを導入することには、資金面や管理面、相続面など多岐にわたるメリットが存在します。将来発生し得るさまざまなリスクや負担を早期に解消するための有効な手段となります。ここでは、具体的な4つのメリットについて解説します。

引っ越しの負担なく資産を整理できる

高齢になってからの引っ越しは、体力的な負担はもちろんのこと、住み慣れた地域社会や友人関係とのつながりが絶たれるなど精神面でも非常に大きなストレスとなります。リースバックを活用すれば、慣れ親しんだ住まいでの暮らしや地域での生活リズムをそのまま維持しながら、不動産資産の整理とまとまった資金の確保を同時に進めることが可能です。環境を変えることなく、将来の空き家リスクを先回りして解決できる点は、高齢の親御さんにとっても非常に安心感のある大きなメリットと言えます。

空き家の管理・維持の負担がなくなる

売却手続きによって所有権がリースバック会社へと移転するため、毎年発生する固定資産税や都市計画税の負担がなくなります。さらに、経年劣化に伴う建物の維持管理費や大規模修繕コスト、定期的な庭木の剪定や掃除といった物理的な労力からも解放されます。将来、誰も居住管理しない実家が放置されて老朽化し、近隣トラブルへと発展するリスクそのものを未然に取り除くことができるため、所有者自身だけでなく遠方に住むご家族の負担軽減にもつながります。

まとまった資金を生前対策に活用できる

売却代金として手に入れた現金は、使い道に特別な制限がないため、老後資金や介護費用としてだけでなく多様な生前対策に活用可能です。例えば、生前贈与を活用して子や孫に資金を分与したり、非課税枠のある生命保険へ組み替えたりすることで、将来の相続税負担を軽減する施策を講じることができます。不動産という分けにくい資産から自由度の高い現金へと変えることで、それぞれの家族の事情や生活設計に合わせた柔軟な資産運用が可能になります。

相続発生後の手続きがシンプルになる

実家を不動産のまま残しておくと、相続が発生した際に相続登記の手続きをはじめ、遺産分割協議の難航や売却に向けた諸手続きなど、残された相続人に多大な時間と手間がかかります。生前にリースバックを通じて現金化を行っておくことで、遺産がシンプルな現金資産となり、指定の口座へスムーズに分配できるようになります。これにより、相続発生後の複雑な法的手続きや相続人同士でのトラブルを大幅に減少させることが可能です。

空き家対策でリースバックを検討する際の注意点

多くのメリットがあるリースバックですが、事前に留意しておくべき注意点も存在します。契約後に後悔したり家族間でのトラブルが生じたりすることを防ぐためにも、以下のポイントをしっかり把握した上で検討を進めることが重要です。

親本人の意思確認と家族間の話し合いが不可欠

長年生活してきた我が家を手放して賃貸契約に切り替えることに対し、抵抗感や心理的ハードルを感じる高齢者は少なくありません。「住み慣れた家で最期まで暮らしたい」という親御さん自身の心情や愛着に十分配慮することが求められます。リースバックを提案・検討する際は、子ども側の都合だけで進めるのではなく、親本人の意向を丁寧に汲み取り、今後の生活設計について家族全員でしっかりと話し合い、納得を得た上で手続きを進めることが何よりも大切です。

売却価格は市場相場より低くなりやすい

リースバックにおける売却価格は、一般的な不動産仲介を通して売却する場合と比較して低め(市場価格の6〜7割程度が目安)に設定される傾向があります。これは買い手となる事業者が将来的な運用のリスクや利回りを考慮して査定を行うためです。「住み続けること」よりも「できるだけ高く売却して手元資金を最大化したい」という意向が強い場合は、リースバックだけに絞らず、通常の不動産売却(仲介)とも併せて比較検討を行うことが推奨されます。

家賃の支払いが発生し続ける

リースバック実行後は、所有者から賃借人へと立場が変わるため、毎月継続して家賃を払い続ける必要があります。設定される家賃は売却価格をベースに算出されるため、周辺の賃貸相場より高めになるケースも散見されます。親御さんの年金収入や貯蓄額で将来的に無理なく支払い続けられる金額であるかどうかが極めて重要です。契約を交わす前に、将来的な収支バランスや居住期間を見据えた長期的な資金シミュレーションを念入りに行っておく必要があります。

認知症などにより本人の判断能力が低下している場合は注意が必要

すでに親御さんの認知症が進行するなどして判断能力が低下している場合、不動産売買契約や賃貸借契約を有効に締結することが法律上難しくなります。このような状況に陥った場合、成年後見制度を利用して家庭裁判所に後見人を選任してもらう必要が生じ、手続きに多くの時間とコストがかかってしまいます。実家の生前対策としてリースバックをスムーズに活用するためには、親御さんが健康で十分な判断能力を有しているうちに、お早めにご検討を始めることが極めて重要です。

空き家対策としてリースバックを進める際の流れ

実家の空き家化を防ぎ、将来のトラブルを回避するためにリースバックを進める場合は、適切な手順を踏んで準備を行うことが成功の鍵となります。基本的な流れは以下の通りです。

  1. 実家の現状整理:築年数や土地・建物の権利関係、登記事項証明書上の名義人を事前に確認し、整理します。
  2. 家族間での話し合い:本人およびご家族で、今後の暮らしや資産整理の方針、将来の生活設計についてしっかりと話し合います。
  3. 複数社への査定依頼と比較:複数のリースバック会社へ査定を依頼し、提示される「売却価格」と毎月の「家賃」のバランスを慎重に比較検討します。
  4. 契約内容の細部確認:契約形態(普通借家か定期借家か)、将来的な家賃の見直し条件、設備の修繕費用をどちらが負担するかなどの区分を綿密に確認します。
  5. 合意形成と契約締結:家族全員が条件や将来設計に十分納得した上で、売買契約および賃貸借契約を進めます。

リースバックは、早い段階でご相談を進めるほど選べる選択肢や検討の幅が大きく広がります。「親がまだ元気だから」と対策を先延ばしにせず、健康で判断能力が十分にあるうちに将来を見据えて早めに動き出すことが、空き家問題や将来の相続トラブルを未然に防ぐ最も確実な近道です。

まとめ

日本全国で空き家が過去最多を更新し続ける中、実家が将来空き家になることを防ぐ有効な選択肢の一つが、リースバックの活用です。ポイントは、「空き家になってから」ではなく「親が今の家に住んでいるうちに」対策を進めることにあります。

住み慣れた家に住み続けながら資産を整理でき、将来の相続トラブルの予防にもつながる一方で、本人の意思確認や家族間の合意形成、家賃の支払い能力の見極めなど、慎重に検討すべき点も少なくありません。早めに家族で話し合い、複数のリースバック会社に相談しながら、実家の将来について具体的な準備を進めていきましょう。

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この記事を書いた人

JAY|リースバック・不動産売却の専門家。
不動産売買会社で3年間マーケティング職として勤務し、土地活用・土地売買・事業用不動産など幅広い案件を担当。

当サイトでは、不動産業界での実務経験を活かし、リースバックをはじめとした不動産に関する情報をわかりやすくお届けします。

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